至誠会第二病院 shiseikai daini hosp

東京都指定二次救急医療機関
東京都災害拠点病院

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患者さまへ産科
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2025.07.22

無痛分娩について

至誠会第二病院 和痛分娩 について

 当院では、自然分娩はもちろんのこと分娩の痛みを和らげるために硬膜外麻酔を用いた和痛分娩を行っております。お母さんと赤ちゃんの安心・安全な出産のために、麻酔科医が麻酔を担当し産婦人科医と助産師が協力してお産に対応しています。

当院で行う和痛分娩(無痛分娩との違い)
 「硬膜外麻酔」は、産痛を和らげる方法の中で最も効果的な方法です。背骨の隙間から細くて柔らかいチューブを挿入し、硬膜外腔とよばれる部分に麻酔薬を入れる方法です。
 当院で行う和痛分娩は、硬膜外麻酔を用いる点においては一般的にいう無痛分娩と同じです。ただ、原則として使用する麻酔薬が無痛分娩の場合とは若干異なるため、無痛分娩と比較すると痛みは感じやすいです。一方で、低血圧や足のしびれ、膀胱マヒなどの副作用、赤ちゃんへの影響は無痛分娩よりも少なくなると考えられます。また、自然分娩よりは産後の回復が早くなることが期待できます。
 一般的な無痛分娩のメリット、デメリットは以下に示します。痛みのために体が硬直してしまう、陣痛で興奮状態になってしまう妊婦さんには適していると思います。

メリット:陣痛や分娩による体力の消耗や痛みのストレスの軽減があげられます。
デメリット:自然分娩に比べて分娩時間の延長・鉗子分娩(吸引分娩)の増加、麻酔による重篤な合併症のリスクがあります。
児への影響:母体の血圧低下の影響を受けたり、増加する吸引(鉗子)分娩の影響はありますが、薬剤の影響はほとんどないと言われています。

 また最近のデータによると、無痛分娩による帝王切開率は上昇しないという結論に至っています。

 

和痛分娩をご希望される方
 和痛分娩をお考えの方に、産科外来で「和痛分娩をご希望の方へ」*1のパンフレットをお渡ししています。
 当院では、初産・経産に関わらず、ご希望される全ての方に和痛分娩をご選択いただけます。
 ただし、以下の場合にはお断りをすることがあります。

血液凝固異常がある方
側弯症が強くて硬膜外麻酔が困難な方
麻酔薬にアレルギーのある方
肥満の強い方
背中の穿刺部位に感染のある方

 和痛分娩をご希望される方は30週頃までに担当医にご相談下さい。まず産科医師より説明をさせていただいた後、35週までに麻酔科外来を受診いただき、麻酔科医師より説明をさせていただきます。

 

硬膜外麻酔の合併症について
 当院では麻酔科専門医が在籍しておりますので的確な対応を速やかに行います。

*低血圧:麻酔により母体の血圧を下げる効果があります。そのため赤ちゃんの心拍数がゆっくりになることがあり、予防のために麻酔の開始前から輸液を行なっています。母体の血流を良くするために横向きになってもらうこともあります。
*腰痛:2〜3日間、背中の刺入部あたりが痛むことがあります。
*頭痛:硬膜を穿刺した場合、1週間位ひどい頭痛が続くことがあります。
*下肢、臀部に神経症状が残る:数週間〜数ヶ月で改善することがほとんどです。

稀ですが、重症な合併症が起こることがありますので記します。

*薬剤が静脈に入ると、めまい、耳鳴り、頻脈、金属味、唇の痺れ、血管内に大量の麻酔薬が入ってしまう(誤注入)と局所麻酔薬中毒を起こし、不整脈や心停止を起こすことがあります。
*薬剤がくも膜下に入ると、くも膜下には髄液が満たされているためにくも膜下腔全体に広がり、呼吸がし難い、全身が動かない、心停止に至ることがあります。
*硬膜外腔や脊椎くも膜下腔に血の塊や膿がたまり、手術が必要になることがあります。

産科的な合併症としては微弱陣痛、分娩の遷延、吸引(鉗子)分娩の増加などがあります。
 硬膜外麻酔のため陣痛が弱くなり陣痛促進剤(オキシトシン)にて陣痛を促進します。怒責(いきみ)のタイミングが分からず吸引分娩の必要が出てくることがあります。

 

産科外来での準備の流れ
 *産科外来にて「和痛分娩をご希望の方へ」のパンフレット*1を渡します。
 *30〜35週 麻酔科外来受診していただきます。
 *36週以降内診を行い、子宮口の熟化に応じて入院日を決定します。
 *入院が決まったら「陣痛促進剤同意書」*3、麻酔科外来受診後に「和痛分娩のための硬膜外カテーテル留置について」*2の同意書の確認、提出をお願いします。

和痛分娩の方法
 当院では安全に麻酔および分娩管理を行うために、全員計画分娩とさせていただいております。
 36週以降の妊婦検診の内診の所見により、産科医師が具体的な入院時期を決定いたします。
 頸管熟化の目的で、入院時にミニメトロという小さなゴム風船に蒸留水を入れて子宮の出口に留置する方もいます。その後、陣痛室へ移動していただき、マニュアルに従い陣痛促進剤を開始します。陣痛の痛みが徐々に出てまいりますので、陣痛、子宮口の開大状況により麻酔科医師により硬膜外カテーテル留置を行います。その後、医師の判断により薬剤注入が開始されます。

 無痛分娩費用について(2025年7月時点)
  分娩費用と別に 130,000円(材料費、薬剤費、技術料費として)  
  分娩費用    650,000円
  麻酔科受診代   2,980円 

*麻酔手技の問題で硬膜外麻酔が施行出来なかった場合は、材料費として5,000円のお支払いをお願いいたします。
 現在、東京都無痛分娩費用助成等事業に申請中です。

無痛分娩の安全な提供体制のために
 当院は無痛分娩取扱施設のための「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する証言」に基づく自主点検表の項目を満たし、その情報を公開しています。

更新日時 2025年7月4日

無痛分娩施設基準

自主点検表

年間分娩取扱件数

*1 無痛分娩の標準的な説明書(患者さん向け)
「和痛分娩をご希望の方へ」
*2 無痛分娩の説明同意文書「和痛分娩のための
硬膜外カテーテル留置について」(麻酔科)
*3「陣痛促進剤の同意書」(産婦人科) *4 無痛分娩マニュアル *5 無痛分娩看護マニュアル

 

 また当院は日本産婦人科医会偶発事例報告・妊産婦死亡報告事業へ参画しています。

#麻酔薬剤の影響で微弱陣痛、分娩の進行に影響がある場合や胎児機能不全の場合は、和痛分娩を中断することがあります。
#硬膜外カテーテルを留置後であっても、他の重症救急患者対応や夜間や病院休日に陣痛が発来した場合は安全性を優先するため薬剤投与が行われない場合がありますのでご了承ください。