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患者さまへ泌尿器科
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2024.06.17
前立腺癌について
前立腺癌は高齢者社会、食生活の欧米化に伴い患者さんの数が増加している癌の代表です。当院でも年間20人以上の患者さんが新しく見つかっています。前立腺癌の代表的治療は大きく3つあります。
1.手術療法
条件がそろえば現在最も有効と考えられています。
適応 | 転移が無い(転移があったら基本的には2.もしくは3.の方法です) 年齢75歳以下(およその目安) 病巣が取りきれると判断できる 全身状態が手術に耐えられる(全身麻酔4時間前後) |
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方法 | 下腹部を約10~12cm切り、前立腺と精嚢腺を全摘除します。そして近くのリンパ節も切除します。入院は2週間弱です。 ▼近年、内視鏡を用いた全摘除術(腹腔鏡下前立腺全摘除術)も行われていますが、施行できる施設が限られます。当院も平成25年から施行しております。 |
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利点 | 取り切れればその後、外来通院での採血やレントゲン検査のみで済みます。 (完治の可能性が最も高いです。) |
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問題点 | 再発の可能性はあります。(なので術後の外来通院は必要です) 尿失禁が残る場合がまれにあります。 射精障害、勃起障害などの障害が残ります。(勃起神経を温存できる場合もあります) |
2.ホルモン療法
男性ホルモンが悪者ですのでこれを抑えるようにします。
適応 | 手術の適応でない(高齢者の場合、転移がある場合、心臓、肺、肝臓などが悪く大きな手術が受けられない場合など)患者様に対して転移(骨やリンパ節が多いです)のある場合 手術の前に3~12ヶ月、ホルモン治療を行う事もあります。 |
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方法 |
現在、主に行われているのは1)と2)です。 |
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利点 | 前立腺摘除手術をしなくて済む。効果も十分認める。 多くはありませんが転移がある症例であっても完治あるいは長年抑えられることがある。 | |
問題点 | 1~3年で効かなくなってしまうことがある。(ホルモン抵抗性になる) ずっと継続する必要がある。(治療費がかかる) 更年期症状が出ることが多い。 短期には血栓症や肝機能障害、長期に使うと骨が弱くなるなどの副作用が問題 →間欠的ホルモン療法というやり方もあります。(治療費の削減や副作用の軽減、さらにはホルモン抵抗性になる確率を下げるかもしれないと言われています。) |
3.放射線治療
全身にはかけられず局所の(部分的な)治療です。 (放射線治療は当院では出来ませんので、可能な施設に紹介いたします。その後のフォローは当院でさせて頂きます)
適応 | 1.手術の代わりに根治目的に放射線治療をすることもあります。 2.転移・再発の生じた場所で、痛みのある場所、ホルモン治療で抑えられなくなった場所などに緩和目的で行います。 |
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方法 | 毎日あるいは週3回、10~15分程度の治療時間です。25~30回(5~6週間かかります) (最近、小線源治療というものもあります。これは前立腺に放射線を発する小さなチップを多数埋め込むやり方です。どこの施設でもできる治療法ではありません。日本ではまだ長期成績が出ていません。) |
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利点 | 治療中の痛みなどの苦痛はほとんどありません。 ホルモン治療で効かなくなったものもある程度効果があります。 |
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問題点 | 治療回数に限度があります。 骨髄抑制(白血球や血小板の低下、貧血)や放射線性の腸炎(下痢、下血)、膀胱炎、神経炎(頻尿、血尿)、神経炎(しびれ)などの後遺症が起こることがあります。 |
前立腺癌は経過の長い疾患です。いろいろな治療法があります。一人一人の患者様にあった治療方法を提供できるように心がけております。
・症状が無くても前立腺癌マーカーのPSA(血液検査)を調べてほしい方
・何か症状があって心配な方
・他の医療機関で前立腺癌の診断を受けたが、診断/治療方法などご不明な点がお有りの方
・治療中であるがこの治療で良いのか違う意見もお聞きになりたい方 など
ありましたら遠慮なく当科にご相談ください。
可能であれば現在の通院している病院の紹介状を頂いてきて下さると助かりますが、紹介状が無くてももちろん診察は致します。